第十一章 罰則
第二百七条の二 第七条の三十七第一項(同条第二項及び第二十二条の二において準用する場合を含む。)の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第二百八条 事業主が、正当な理由がなくて次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第四十八条(第百六十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第四十九条第二項(第五十条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、通知をしないとき。
三 第百六十一条第二項又は第百六十九条第七項の規定に違反して、督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき。
四 第百六十九条第二項の規定に違反して、保険料を納付せず、又は第百七十一条第一項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、若しくは同項若しくは同条第二項の規定に違反して、報告せず、若しくは虚偽の報告をしたとき。
五 第百九十八条第一項の規定による文書その他の物件の提出若しくは提示をせず、又は同項の規定による当該職員(第二百四条の五第二項において読み替えて適用される第百九十八条第一項に規定する機構の職員を含む。次条において同じ。)の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第二百九条 事業主以外の者が、正当な理由がなくて第百九十八条第一項の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第二百十条 被保険者又は被保険者であった者が、第六十条第二項(第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定により、報告を命ぜられ、正当な理由がなくてこれに従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、正当な理由がなくて答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたときは、三十万円以下の罰金に処する。
第二百十一条 第百二十六条第一項の規定による申請に関し虚偽の申請をした者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第二百十二条 第百二十六条第一項の規定に違反して、申請をせず、又は第百六十九条第四項の規定に違反して、日雇特例被保険者手帳を提出しなかった者は、三十万円以下の罰金に処する。
第二百十二条の二 第七条の三十八第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は第七条の三十九第一項の規定による命令に違反したときは、その違反行為をした協会の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
第二百十三条 健康保険組合又は第百五十四条第一項に規定する国民健康保険の保険者である国民健康保険組合の役員、清算人又は職員が、第百七十一条第三項の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、五十万円以下の罰金に処する。
第二百十三条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第百八十三条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第百四十一条の規定による徴収職員の質問(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く。)に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者
二 第百八十三条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第百四十一条の規定による検査(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く。)を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者
第二百十四条 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第二百八条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
2 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第二百十五条 医師、歯科医師、薬剤師若しくは手当を行った者又はこれを使用する者が、第六十条第一項(第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定により、報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命ぜられ、正当な理由がなくてこれに従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、正当な理由がなくて答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたときは、十万円以下の過料に処する。
第二百十六条 事業主が、正当な理由がなくて第百九十七条第一項の規定に違反して、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書の提示をせず、又はこの法律の施行に必要な事務を行うことを怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
第二百十七条 被保険者又は保険給付を受けるべき者が、正当な理由がなくて第百九十七条第二項の規定に違反して、申出をせず、若しくは虚偽の申出をし、届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は文書の提出を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
第二百十七条の二 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした協会の役員は、二十万円以下の過料に処する。
一 第七条の七第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。
二 第七条の二十七、第七条の三十一第一項若しくは第二項又は第七条の三十四の規定により厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。
三 第七条の二十八第二項の規定により厚生労働大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。
四 第七条の二十八第四項の規定に違反して財務諸表、事業報告書等若しくは監事及び会計監査人の意見を記載した書面を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。
五 第七条の三十三の規定に違反して協会の業務上の余裕金を運用したとき。
六 第七条の三十五第二項又は第七条の三十六第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
七 第七条の三十五第二項又は第七条の三十六第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。
八 この法律に規定する業務又は他の法律により協会が行うものとされた業務以外の業務を行ったとき。
第二百十八条 健康保険組合の設立を命ぜられた事業主が、正当な理由がなくて厚生労働大臣が指定する期日までに設立の認可を申請しなかったときは、その手続の遅延した期間、その負担すべき保険料額の二倍に相当する金額以下の過料に処する。
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【試験問題】次の説明は、健康保険法に関する記述である。健康保険組合の設立を命じられた事業主が、正当な理由がなく、厚生労働大臣が指定する期日までに設立の認可を申請しなかったときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。 【解答】×
健康保険組合の設立を命ぜられた事業主が、正当な理由がなくて厚生労働大臣が指定する期日までに設立の認可を申請しなかったときは、その手続の遅延した期間、その負担すべき保険料額の二倍に相当する金額以下の過料に処する。 (健康保険法 218条)
健康保険組合の設立を命ぜられた事業主が、正当な理由がなくて厚生労働大臣が指定する期日までに設立の認可を申請しなかったときは、その手続の遅延した期間、その負担すべき保険料額の二倍に相当する金額以下の過料に処する。第218条 設問のように、【事業主に対して6月以下の懲役又は50万円以下の罰金】に処せられるケースとしては次のものがあります。①資格取得、喪失並びに報酬月額・賞与等に関する届出義務違反、②被保険者への通知義務違反、③督促状指定期限までに保険料を納付しない場合、④日雇特例被保険者の保険料を納付しないあるいは報告義務違反、⑤厚生労働大臣による立入検査の文書等提出義務違反や検査妨害等 があります。
第二百十九条 健康保険組合又は連合会が、第十六条第三項(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、第二十九条第一項若しくは第百八十八条において準用する第七条の三十八の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは第二十九条第一項若しくは第百八十八条において準用する第七条の三十八の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は第二十九条第一項若しくは第百八十八条において準用する第七条の三十九第一項の規定による命令に違反したときは、その役員を二十万円以下の過料に処する。
第二百二十条 第七条の八、第十条第二項又は第百八十四条第四項の規定に違反して、全国健康保険協会という名称、健康保険組合という名称又は健康保険組合連合会という名称を用いた者は、十万円以下の過料に処する。
第二百二十一条 機構の役員は、次の各号のいずれかに該当する場合には、二十万円以下の過料に処する。
一 第二百四条の三第一項、同条第二項において準用する厚生年金保険法第百条の六第二項、第二百四条の四第一項、第二百四条の五第一項及び第二百四条の六第二項において準用する同法第百条の十一第二項の規定により厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。
二 第二百四条の四第二項において準用する厚生年金保険法第百条の七第三項の規定による命令に違反したとき。
罰則
・両罰規定 法人へ同条規定の罰金刑
・cf.一番重い罰則
•事業主への罰則
・正当な理由がない虚偽の届出、健康保険印紙受払簿の報告違反など
◦6月以下の懲役または50万以下の罰金
•事業主以外の検査妨害
・6月以下の懲役または30万以下の罰金
•被保険者 30万円以下の罰金
•健康保険法雑則
健康保険法雑則
届出
通則
不服申立て
督促および滞納処分
時効
書類の保存
罰則
届出
• ・一般の被保険者は通常「事業主を経由して」保険者等(機構または組合)へ届出
・任意継続(特例退職)被保険者は直接、保険者(協会または組合)へ届出
•事業主の届出
◦被保険者資格資格取得喪失届
・事業者は取得(当日)喪失(翌日)から5日以内に保険者等に届出る
・被保険者等 厚生労働大臣(日本年金機構に委任)または健康保険組合
・月額算定基礎届7月10日、月額変更届「速やかに」
◦氏名変更届
・被保険者は「速やかに」事業主に申出、被保険者証を提出
・事業主は「遅滞なく」保険者等(厚生労働大臣(機構)または健康保険組合)に届出
・任意継続被保険者、特例退職被保険者は本人が5日以内に保険者(協会または健保組合)に届出
◦住所変更届
・協会健保の被保険者は速やかに申出、事業主は遅滞なく届出(被保険者証は不要)
◦118条第1項該当不該当届(少年院、刑事施設)
・事業主は5日以内に保険者等に届出
•被保険者の申出、届出
◦被扶養者(異動)届
・被保険者は5日以内に「被扶養者届」を事業主を経由して保険者等に届出る
・任意継続、特例退職被保険者は事業主を経由せず直接保険者に届出る
◦介護保険2号被保険者適用除外等該当非該当届
・40歳に達した(該当)65歳に達した(非該当)以外の事由(国内に住所の有無)での届
・被保険者は「遅滞なく」事業主を経由して保険者等に届出る
•保険者選択届
・10日以内に組合または厚生労働大臣(機構)に届出。
・2以上の年金事務所を選択する場合も10日以内に機構の届出
•被保険者証(発行者は保険者)
◦交付、訂正、再交付
・協会は「機構が取得の確認を行った」「事業所整理記号、被保険者整理番号の変更を行った(同一都道府県内での事業所の所在地の変更によるものを除く)」場合、事業主経由で遅滞なく被保険者に交付する。(任意継続被保険者へは保険者(組合/協会)が直接送付する。)
・被保険者は記号、番号、氏名、被扶養者氏名に変更があった場合、遅滞なく保険者に提出する(原則事業主、機構を経由する)
・再交付、検認、更新も同様の手続きであるが、機構は経由しない
◦返納
・事業主は「被保険者の資格喪失」「保険者変更」「被扶養者の異動」に際し遅滞なく被保険者証を回収して(機構を経由して)保険者に返納する
・被保険者は5日以内に事業主に被保険者証を提出する
・任意継続(特例退職)被保険者は5日以内に保険者(協会、組合)に返納する
・資格喪失が死亡の場合、埋葬料、埋葬費を受けた者または埋葬を行った者が返納する
◦臨時に「被保険者資格証明書」を受け取った場合、返納する。
◦70歳以降被保険者に「高齢受給者証」を交付する。
通則
•譲渡等の禁止、公課の禁止
・保険給付は譲り渡し、担保に供し、差し押さえることが出来ない
・保険給付として受けた金品を標準として租税その他公課を課することはできない
•併給調整
・他の給付との調整
◦労災保険給付 労災保険給付(国家(地方)公務員災害補償)が優先する
cf.健康保険法等の一部を改正する法律
・健康保険の被保険者又は被扶養者の業務上の負傷等について、労災の給付対象とならない場合は、原則として、健康保険の給付対象とする。(H25,10,1)
◦介護保険給付 介護保険給付が優先する。医療行為に対する給付は医療保険が行う
◦公費負担医療 医療保険給付を優先し、自己負担分に対して公費負担される(結核など)
・災害救助法による救助者医療は公費負担が優先する
◦少年院等公費治療(疾病、傷病、出産)
・被保険者が少年院、刑事施設、労役場にあっても被扶養者への保険給付は行われる
・少年院、刑事施設、労役場にあっても死亡に関する給付は行われる(埋葬料)
・未決拘留の場合は傷病手当金、出産手当金は制限されない(労災保険:休業補償給付と同じ)
•給付制限 cf.給付制限まとめ
・絶対的給付制限
◦故意の犯罪行為または故意に給付事由を生じさせた場合保険給付を行わない
・自殺による死亡の場合の埋葬料は支給されるが、未遂の場合、療養給付、傷病手当金は支給しない(精神疾患による自殺は故意としない)
・被保険者からの故意の犯罪行為による被扶養者の怪我は給付されないが、被保険者である配偶者からの暴力は配偶者を第3者とみなし給付される(DVはOKで虐待はNG?)
•相対的給付制限(制限することができる)
◦闘争、泥酔、著しい不行跡
全部、一部を給付しないことができる
◦療養に関する指示に従わない
一部を給付しないことができる(概ね10日間)
◦偽りその他不正により傷病手当金、出産手当金を受給
6カ月の支給停止。1年後再開:
・給付の価格の限度(現物給付場合給付に要する費用から自己負担を控除した価額)で全部または一部を徴収出来る
◦保険医療機関の診療費不正受領(1.4倍返し)
・不正受給額と40%を返還させる
•損害賠償請求権の代位取得
・給付の価格の限度において損害賠償請求権を取得する
・被保険者の受けた損害賠償の価格の限度において保険給付の責めを免れる
・被保険者が損害賠償請求権を放棄した場合、それ以後の保険給付の責めを免れる
不服申立て
厚生年金法「不服申し立て」と同じ
•保険給付等に関する不服申立て(法189)2審制
◦社会保険審査官
・定数102人として各地方厚生局(地方厚生支局含む)に置く
・厚生労働省職員から厚生労働大臣が任命
◦社会保険審査会
・厚生労働省に置かれ委員長および委員5人
・学識経験者から両議院の同意を得て厚生労働大臣が任命
◦審査請求(社審法4)
・被保険者資格、標準報酬、保険給付に関する処分に不服がある時
・処分があったことを知った日の翌日から60日以内に文書または口頭で社会保険審査官に審査請求
・処分があった日の翌日から2年で審査請求できない
◦再審査請求(社審法32)
・社会保険審査官の決定に不服があるとき、決定書の謄本が送付された日の翌日から60日以内
・審査請求をした日から60日以内に決定がない時文書または口頭で社会保険審査会に再審査請求
•保険料等の賦課等に関する不服申立て(法190)1審制
・保険料その他徴収、滞納処分は社会保険審査会に対して文書または口頭で審査請求
•訴訟(法192)
・処分の取り消しの訴えは社会保険審査会の裁決を経た後でなければ提起できない
・以下は例外
◦審査請求から3月経過しても裁決がないとき
◦著しい損害を避けるため緊急の必要がある場合
◦その他正当な理由があるとき
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